社会人として働いているけど、視能訓練士という職業を知り今後学校に通って資格を取ろうか迷っている・・そんな方に向けて、私が社会人から視能訓練士になった時の実体験をお伝えします。
社会人から学生に戻って感じる事や、資格を取得して良かったかなど自分の経験もお伝えするのでリアルな思いを知ることができます。
社会人から視能訓練士になるイメージがつき、その都度感じる大変さや悩み、視能訓練士になってどうだったかを知ることで、視能訓練士を目指すかどうか判断する手助けになれますので良かったらぜひ最後まで読んでみてください。
約15年目の現役視能訓練士です。
私自身、社会人から視能訓練士になった経緯があります。
視能訓練士になるかどうかは当時相当悩みました。
そして視能訓練士として働く今現在の気持ちも正直にお話しします。
社会人から視能訓練士になる流れ
社会人として生活していても何かのきっかけで違う道を志すこともある中、社会人経験者が視能訓練士という職業を志し、再度資格を取りに学校に通い国家試験に挑む方も割と多くいます。
その中でまずは学生生活の大変さが最初の壁になるでしょう。他の国家資格よりは比較的簡単に取得できるかと感じますが、それでも最低でも1年間は学校に通わなければならず、道のりに壁はいくつかあるので安易な気持ちで挑戦するには無謀、それなりの覚悟は必要です。
どういった流れで視能訓練士になれるのか、その間の苦労や感じる事などを、私自身の実体験を元に早速お伝えします。
学校受験
まず一番最初の挑戦は養成校の受験、入学資格を得なければ話は始まりません。
1年制?3年制?
まず専門学校か大学か、1年制か3年制か、自分に合ったカリキュラムで勉強できる学校を選択することになります。
社会人経験者の一部の方は1年制の学校を選択しますが、かなりハードなカリキュラムですので必死に毎日を過ごすことになります。その反面、3年制の専門学校に通ったり大学の2年生に編入して3年間通うと言った選択もあり、こちらは時間に余裕がある反面、学費も多くかかりますし視能訓練士になるまでの時間も多くかかります。
専門学校であれば入学するのに苦労する話はあまり聞きませんが、1年制に入学するには事前に必要単位が足りていない人はあらかじめ取得する必要がありますし、大学に入学を考えている人はそれなりに受験勉強は必要です。
社会人になってから、まさか数学とか勉強するとは・・
学校生活について
次は無事に入学することができた後の学校生活についてです。
資格を取るために学校へ行くので、楽しいキャンパスライフとは少し違い、個人的に感じた学校生活について書いてみます。
なんだかんだで学生生活は大変でした。
それでも一緒に頑張った同期がいたので乗り越えられました。
アルバイトはできる?
基本的にはできますが、実習中はアルバイト禁止されているケースもありますし、そもそも毎日レポート書いたり初めての病院実習に緊張してかなり疲れますししんどいため余裕はありません。実習中でなくても、勉強が意外に大変なのと国家試験もあるので人によってはバイトはせずに勉強に専念する人もいます。
勉強内容は難しい?
勉強内容は思ったよりも勉強する内容が多くて大変でした。難しいというよりも覚えることが多かったり、実技の練習でつまづいたり、掘り下げれば掘り下げるほど覚えることはどんどん出てくるのでとにかく「大変」でした。
実習は大変?
配属される病院によると思いますが、ずっと見学のみの病院やどんどん臨床経験をさせてくれる病院、課題を多く出す病院、様々なので人によって大変だったかの感想はまちまちです。
ですが、基本働くのと同じで9時間ほどの拘束、臨床での経験をさせてもらい、帰宅して遅くまでレポート、朝は早いことが多いので体力的に大変です。
私は少し遠い病院に実習に行っていたので、朝5:30には家を出て8:15~17:15、20:00帰宅の生活でした。その病院はGPや斜視訓練まで経験させてくれたので大変でしたがとても勉強になりましたし、今でもとても役に立っています。
国家試験は簡単?
普通に学校の授業を受け、数回あるであろう学校のテストをパスしていればほとんどが国家試験は合格できるように感じます。実際、国家試験の合格率も9割を下回ることはないので、余程の事がない限りは国家試験も合格できるでしょう。ですが、それはみんな相当勉強しているのでさぼっていたらもちろん落ちますので注意が必要です。
学校の国家試験の合格率を下げないために、国家試験落ちそうな人は進級させない・試験を受けさせないため、合格率が良いというカラクリもあります。
就職について
学校に通って国家資格を取得するだけでなく、就職も大切です。実際、視能訓練士の就職活動や就職状況はどうなのでしょうか?
就職活動はいつするの?
だいたい最終学年の9月頃から学校に求人が来るようになり、大学病院に関しては面接などが11月頃にピークが来て、そのあと総合病院や個人眼科の面接が続きます。年内で半分くらいの人が就職決まり、2月を過ぎると求人数もどんどん減り就職が決まっていない人は焦り始めます。実習中に面接に行く人もいましたし、実習が9月以降になる場合は就職活動も並行しておこないます。
一般企業の就職活動は卒業の1年以上前からおこなうことが多いですが、病院は割と直前です。
年齢関係なく就職できる?
年齢が原因でどこにも就職が決まらないということはあまりないようです。
何歳であろうと視能訓練士としては新卒なので、年下の先輩に指導を受ける事を受け入れられるか、など人間性を見られるでしょう。一度社会人を経験している人の方が社会を知っているということが評価する病院もありますので、結局は病院が求めている人物像に当てはまるかどうか、ご縁によるところも大きいです。
社会人から視能訓練士になるのに大変だったこと
次は完全に個人的な主観です。私だけかもしれませんが、当時大変だったことを書いてみます。
学費をどうするか?
まずお金の問題をクリアにしないと学校にも通えません。私は幸い奨学金をいただけていたのと親の協力があったので学校に通うことができました。実際、自分の貯金のみで学校に通う方もいますし、給付金制度を利用して1年制の学校を選択したりととにかくお金の準備が必要です。
親には本当に感謝しています。
未だに視能訓練士を辞めたいと心が折れそうになった時に親が学費を協力してくれたことがよぎります。(なのでいつまでたっても辞められない)
勉強や実習
もっと手を抜いて要領よく勉強すれば良かったのですが、個人的にわからないことは徹底的に調べたり理解しないと納得できない厄介な性格の私だったので、自分自身が勉強を大変にしていたように感じます。
でもまわりを見渡しても大変そうにしていたので、勉強は量も多いし奥深い内容も多いので甘くはないです。
実習も病院先次第ではありますが、実習で得た知識は就職後にかなり役に立ちますので、自分次第で実習を良いものにすると良いですがそうなると寝る時間がないくらい大変です。
就職活動
就職活動で内定を得る事はそれほど大変ではありませんでした。
都心での就職先を探していたため求人数も割と多く、個人的には選べる状態でした。就職先に人気の大学病院の面接に受けに来た人は5人程、競争率も高くなく企業の就職活動とは違うと感じます。
ですが、実習期間中だったり国家試験の勉強をしながら合わせて就職活動をおこなう忙しさという意味では大変でした。
学生中の悩みや感じる事
当時密かに感じていたことや悩みは勉強の大変さだけではありませんでした。
自分はストレートではない
自分の眼の疾患から眼についてはずっと興味があったことより視能訓練士になろうと行きついたのですが、学生に戻ってる間に友人はキャリアを積み、人によっては結婚出産したりしているので、未だに学生している自分に焦りを感じることはよくありました。
視能訓練士になっても同い年の方たちはすでに数年の経験者ですし、ストレートではない自分に遅れがあるというか、劣等感のようなものを感じる事もあり、学生時代や新卒時代は常に焦っていた気がします。
途中心が折れることもあった
勉強量も多いですし内容も簡単なものではないので、必死に勉強してもわからない・レポートは突き返されるなどはよくありました。
学校の先生も厳しかったですし、実習中も怒鳴る医師がいたので心が折れることもありました。
視能訓練士になって感じること
完全に個人的な私の気持ちで他の人も同じように思っているかはわかりませんが、視能訓練士になって感じたことを挙げていきます。
年齢は意外に気にならなかった
当時は学生に戻ることはリスクのように思っていましたが、今思えば人生の中で考えるとほんのわずかな時間でした。
自分より年下の子も視能訓練士としては先輩だということについても、珍しい事ではないので自分が気にしない限りは大きな弊害になることはありませんでしたし、年齢の割に視能訓練士の経験年数が少なくてもそれがネックになることはほとんどありませんでした。
自分に強みができて嬉しかった
学生の間は大変でしたが、国家資格を取得し視能訓練士と働けるようになって自分に強みができた事で自信もつき、興味があった眼に関わる仕事ができているので頑張って資格取得して良かったなと感じます。
給与が低く立場も弱い
国家資格なのと医療関係なので今後仕事に困ることはないですが、住む地域によっては求人が少なかったり、給与は低く医療界の中でも立場が認知されていない分野だからかとても弱いです。単なる給与や立場を求めて国家資格を取得したい方におすすめできるかと言ったら私はお勧めしません。
視能訓練士はどんな人に向く仕事?
誰でも視能訓練士を目指すことはできますが、今まで出会った視能訓練士の中にはせっかく国家資格を取得したのに数カ月で辞めていった人もいます。そうならないためにも、どんな人が視能訓練士に合うのでしょうか?
眼に興味のある人
まず第一に眼に興味がないとやっていけません。中には楽そうな仕事だから・資格も簡単そうに取れそうだからなんて理由で視能訓練士を目指しても、思った以上の大変さに辞めてしまう人も多いです。
臨機応変に対応できる人
ただ検査するだけならだれでもできますが、マニュアルがあるわけではないので「こんな検査結果が出たからあの疾患を疑うべきだ」と臨機応変に対応を変えていかなければなりません。
実際これができてない視能訓練士は多く、お局さんから怒られるパターンです。
向上心のある人
常に新しいこともどんどん入ってくるためいつになっても勉強が必要です。国家資格を取得した時点がスタートでゴールはありません。そのため向上心があり常に様々な事を取り入れていける人にはとても楽しいです。
患者さんを第一に考えられる人
病院には眼に対して不安を持つ人がやってきますので、患者さんに対して寄り添えない人には不向きです。少しでも患者さんの不安が取り除けるように考えられないとそもそも医療人には向かないかもしれません。
責任感のある人
最終判断や手術をするのは医師ですが、そこに至るまでに正しい検査結果を出さないときちんとした医療を提供することは出来ません。視能訓練士の検査は機械で済まされない内容ばかりなので、知識・技術によって検査結果が大きく違う事も多くあるのできちんと責任を持って検査しなければなりません。
視能訓練士になるにはどういう覚悟が必要?
「医療職に就きたい」「国家資格って強み」「視能訓練士ってたった1年で資格取れるの?」「国家資格の合格率も高いし簡単そう」という軽い気持ちで視能訓練士を目指す人はたまにいます。
ですがやはり「視能訓練士」という職業に興味を持ち、志さない限りは途中で断念する人がほとんどです。
そして視能訓練士になっても給与に低さや立場の弱さに後悔することもあるでしょう。
そのため、視能訓練士を目指す理由をはっきりし将来のビジョンを持っていれば、学生に戻る事に対しても勉強の大変さにも乗り越えられるし、就職後も自信を持って働けるので、目的を持って覚悟して志してほしいと願います。
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以下に視能訓練士として働く中でのやりがいや魅力ついて書いてありますのでよろしければ読んでみてください。
まとめ
社会人から視能訓練士へと進んだ時のこと、その時の心情についてまとめてみました。
やめとけという人ももちろんいますが、自分が「視能訓練士という職業」に興味を持っているかどうか、安易な気持ちでないかよく考えてみて、自分の人生を選択してみて下さい。