こどもと共に眼科へ行ったら近視と言われメガネを勧められ「ついにメガネきたか・・」「でもまだできればメガネはかけさせたくない」「メガネはかけさせなくても良いのでは?」と感じている方に向けて、こどもの近視にメガネが必要かどうかについてお話しします。
こどもの近視にメガネが必要かどうかを知ることができ、どう対処したら良いかについてわかりますのでぜひ最後まで読んでみてください。
【自己紹介】
現在約15年目の現役視能訓練士です。
眼科で検査をおこなうための国家資格を保有しています。
こどものメガネのことで悩むご両親をたくさんみてきましたので、その時の様子も踏まえながら記事を書いていきます。
近視とは
「遠くが見えにくくて近くは見えるのが近視だよね?」とよく聞きますが、その通りです。
ここのみ少し専門的な話になりますが、眼の中に入ってきた光(像)が眼の中で折れ曲がって(屈折)、眼の後ろにある網膜という視力に関係する場所にきちんと焦点が当たれば、視力は良好です。その焦点が網膜より前で像を結ぶと見えにくい状態となり、これを【近視】と言います。
近視はどう矯正するの?
近視は光(像)の焦点が眼の後ろの網膜(視力にとって大切な場所)よりも前に結ぶので、焦点を網膜に結ぶように屈折を変えるレンズを置くことで矯正できます。これは、目の前にレンズを置く【眼鏡】、眼の表面にレンズを置く【コンタクトレンズ】などがあります。
一度作ったら永遠に使えるわけではなく、成長と共に屈折状態が変わりますので度数を変えて対応していきます。
こどもの近視にメガネは必要?
弱視等ではない場合、個人的にはこどもが授業中や生活で見え方に困っているかどうかによってメガネをかけるかどうか決めるべきだと感じています。以下に眼科で説明している事を挙げてみますが、あくまで一般論なのでこどもの気持ちを優先すると良いでしょう。
ちなみによく「眼鏡をかけるとどんどん近視が進むと聞いたことがあるから、かけない方が良いと思っている」という気持ちをお話されますが、医学的には「メガネをかける」と「近視が進む」はイコールではありません。
視力が0.7より下がったらかけた方が良い
視力検査では両眼の視力が0.7より下がるとメガネを勧められます。
両眼の視力が0.7より下がると学校の黒板の字が見えにくくなり、席が前の方とか問題がなければ良いですが、見えにくさや不便を感じたらその時のためだけにかけ外しでも良いのでメガネがあっても良いでしょう。
視力が0.3より下がったら常用すると良い
両眼の視力が0.3まで下がると、遠くの人の顔がだいぶぼんやりしてきますので、普段からメガネを常用してかけることをお勧めします。
このくらいでも「まだ見える!」と言っている場合は普段からかなり眼を細めて見ていると想像できます。何気にすごい形相ですし、メガネをかけた方が楽に物が見れます。
適切な矯正が眼に負担をかけない
今の近視の状態に適切な度数のメガネをかけることが一番眼に負担をかけません。
見えない時は眼を細めたりどうにかピントを合わせようとしたりすることが実は眼の負担になっています。
近視の進行を遅らせる可能性
実際はメガネでは近視進行の抑制効果は少ないですが、その時にピッタリの度数のメガネをかけることが近視進行をやや遅らせると言われています。
本気で近視進行を遅らせたい場合は、オルソケラトロジーや点眼薬、多焦点コンタクトレンズが効果的だと言われています。
一番は子供の気持ち
どうしてもかけたくないこどもにメガネを作っても実際使わなかったり、メガネが恥ずかしくて学校へ行くのが億劫になってしまうケースもあります。
逆にご両親がメガネを反対していてもこどもがメガネに憧れてかけたくて仕方ない場合は、問題がないのに「視力0.1」という結果が出ることもあります。メガネ一つで気持ちが落ち込んだり、気持ちが視力の値に出たりするように繊細な事なので、こどもの気持ちも大切にすべきだと感じています。
あまりに視力が落ちてきたときなど、本人も生活が困難になって「メガネ欲しい」と言い出します。そんな時に反対はしないであげてほしいです。
メガネをどうしてもかけたくない人には?
メガネがどうしても抵抗がある方には以下の2つの方法もあります。なにかあった時のためにメガネの作成はした上で、普段は以下の方法で矯正すると良いです。
コンタクトレンズ
自分自身の事が管理ができるような年齢になったらコンタクトレンズもお勧めです。
ただ、眼をこすったり、汚れた手でコンタクトレンズを触って取り扱ったり、ケアを十分にできないと眼のトラブルが起こります。また、使う捨てコンタクトレンズを使うと毎回費用もかかりますので考慮して使用すると良いでしょう。
余談ですが、【遠近両用コンタクトレンズ】を使用することで近視抑制の可能性を示唆している研究結果もあります。
今までは大人の、老眼が始まった人が使用するものだと知られていました。
気になる方は眼科で聞いてみてくださいね。
オルソケラトロジー
夜寝ている間にハードコンタクトレンズを装用して、朝外すと見えるようになっている矯正方法です。
日常的なコンタクトレンズの装用がまだ難しいかも・・と思う年齢でも、コンタクトレンズのつけ外しや洗浄などの取り扱いをご両親でおこなうと決めておけばオルソケラトロジーは可能です。ただ、費用が多少かかるのと取り扱いにご両親の負担がかかります。また強度近視には向きませんのでよく他の矯正方法と比較検討をすることをお勧めします。
多焦点コンタクトレンズと同様、オルソケラトロジーを利用する事で近視抑制効果が得られると言われています。
そのため近視予防のためか、8歳くらいの低年齢から使用可能としている病院もあります。
こちらに近視を進ませない方法についての記事も書いていますのでよろしければ読んでみてください!
よくある質問
「メガネをしぶしぶ作ることになった・・できれば作りたくない」という方によく聞かれる内容をまとめます。
メガネは授業中だけでも良い?
メガネを付けたり外したりすることで、ピント合わせをしたりしなかったり眼の中の状態が多少不安定になります。これが眼に負担になる可能性があるので個人的には眼鏡はかけ続けた方が良いと感じています。
ただし、両眼視力が0.3以上であれば、そこまで強い近視でもないため必要に応じてかけ外しして良いでしょう。
なるべく弱い度数で処方してほしい・・
親御さんから、近視が進むのを懸念して「度の弱いものを処方してください」と言われることがよくあります。確かに検査結果より度の強い眼鏡をかけることはお勧めしませんが、ほぼぴったりくらいの度数の眼鏡をかけることが一番眼に負担がかかりません。
ですが自覚的に見え方が快適だと感じる度数が一番メガネをかけやすくなるので、こどもが納得した見え方の度数も意識しながら決めると良いでしょう。
まとめ
こどもに近視が発覚してメガネかと思うと気が重くなる気持ちもわかります。
こどもの近視のメガネは必要かどうかについては医学的な判断の他にも、こどもの気持ちも大切なので考慮しながら決めてみてください。