【子どもの近視】進まない方法はある?近視が進む原因から治療まで

近視 進まない方法 眼の事

現在、小学生の約7割・中学生の約9割が近視だと言われており、パソコンやスマートフォン、タブレットの普及で今後近視が減ることは考えにくくなってきています。

ですが近視は強ければ強いほど疾患の合併も起こりうるため近視進行の抑制について様々な場面で研究がおこなわれているくらい重要な問題となっています。

そこで眼科検査員である視能訓練士の私が現場や研究結果を見聞きした「近視を進ませない方法」についてまとめます。近視が進む原因から治療方法までを理解でき、子供の眼の心配事が少しでも解消できますので最後まで読んでみてください。

現在、現役約15年の国家資格・視能訓練士として眼科に勤務しています。

今までいろんな子供の検査から治療に関わらせていただきました。その経験からここでは【近視が進む事】【近視抑制】について解説していきます。

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近視とは

簡単に説明すると「遠くのものが見えず、近くの物なら見える」状態のことを言います。

これは眼の中が遠くにはどう頑張ってもピントが合わず、近くにピントが合うような状態になっています。

これだけならメガネやコンタクトレンズなどでの矯正でどうにかなりますが、近視が強くなればなるほど近視特有の眼の病気が起こりやすくなり、失明の原因が「近視が強いから」とあげられることもあります。

なぜ近視は特有の病気が起こりやすいのかについては専門的な話になるのでここでは割愛しますが、遠視よりも近視の方がはるかに病気にかかる確率は上がります。

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近視が進む原因

大きな原因として以下の2つ挙げられます。

  • 仮性近視
  • 軸性近視

仮性近視

近くの物を見る時はピント合わせをしており、その力が強すぎたり長時間にわたっておこなうと、本当は近視ではないのに「近視の状態」を作り出してしまうことがあります。

それがわずかな時間のみならまだしも、眼が常にピント合わせしている緊張状態に陥り元に戻せない状態になってしまうケースも少なくありません。これを仮性近視と言います。

仮性近視は、本来は近視ではない眼が近視状態を作り出しているだけなので本当の近視ではありませんが、これがかなりの長期間が続くと近視へと移行していきます。

ポイント【長時間のゲームは避ける!】

仮性近視にならないように注意することとして長時間のゲーム・PCやタブレット類などは避け、時間を決めておこなったり休憩を挟むことをお勧めします。もちろん完全にゲームを止める事を勧めているわけではありませんので、保護者の方が長時間にならないように管理してあげられると良いでしょう。

あまりに眼を近づけすぎて見ると、過度なピント合わせを強要していることと同じなのでよくありません。

軸性近視

眼が大きくなることで引き起こす近視のことを軸性近視と言います。

近視が進む理由

物が見えるメカニズムとして、眼の中に入る光(像)が屈折して眼の後ろ部分で収束しますが(上の図の赤線)その収束部分が網膜の視力に関係する大事な部分にきちんと合うと視力が良く出ます。

ところがこの収束部分が網膜に合わないと眼球が大きくなろうと伸びようとします。下の図の青線ように網膜中心部だけでなく、網膜周辺部にも同じことが言えます。そして眼球が大きくなると網膜中心部は、光(像)の収束が網膜より前となりどんどん近視が進んでいきます。

これは外的要因のあるものですが、ただ単に【その子の成長】によって眼も大きくなるので近視が進むこともあります。

ポイント【暗い所で物を見ない!】

暗い所で物を見ると、瞳孔(黒目)が大きくなります。瞳孔(黒目)が大きければ大きいほど周辺からの光(像)を取り入れ、光(像)の収束場所が網膜の色んな場所に散在し、そうすると網膜が伸び、近視を引き起こす原因となります。

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近視を進ませない方法

近視を進ませないためには、近視進行抑制の治療をおこなうことが一番効果的です。

以下に紹介していきますので、どの方法が良さそうか検討してみてください。

近視は「遠くのものが見えない」という不便なことだけでなく、強度近視になればなるほど近視特有の病気にもかかりやすくなります。

色んな面から考えてもできるだけ近視は進行させないと良いので、ぜひ近視抑制治療を検討してみてください。

注意)近視進行抑制の治療を始める前に知っておく事
  • 目的は近視進行抑制であり、完全に近視にならないわけではない
  • 視力回復トレーニングなどを言っているものの対象は【仮性近視】の状態の時のみに効果があり、近視進行を抑制するものではない
  • 数カ月治療すれば良いのではなく、年単位での治療で効果が出る

以上のことを踏まえながら、以下の近視進行抑制の方法を知ってみてくださいね。

環境を整える

子どもの背の高さに合わない机や椅子では姿勢も悪くなり見る物の距離が近すぎてしまうので机や椅子の調整をしたり、薄暗い部屋でなく部屋は明るくしたりなどの環境を整えることが大切です。

また、タブレットやTVの時間をきちんと設定したり、なるべく外遊びの時間を増やしたりなどの努力も必要です。

治療①オルソケラトロジー【寝ているときにハードコンタクトレンズ装用】

寝ている間、特殊なハードコンタクトレンズを装用することで眼の形を変え、日中裸眼で過ごすことができる方法です。

オルソケラトロジーをおこなうことで眼の伸長を抑える効果があるので近視抑制効果も期待できる上、近視なのに日中に眼鏡やコンタクトレンズなどの方法で矯正する必要もなく裸眼で過ごせるのですから一石二鳥です。

ただし、小さい子供だけでは管理が難しいので親の管理が必要だったり、初期費用に加え、ケア用品やコンタクトレンズも2年ごとに交換することを推奨されているためその都度費用がかかります。また中等度の近視までを対象としているため、すでに強度近視は適応外となります。

眼科によっては8歳位からでも利用可能としているので早い段階で近視抑制に取り組むことができ、しかも普段眼鏡なしで過ごせるのは魅力です。

オルソケラトロジーは眼鏡なしで普段生活可能になる上、近視進行抑制の効果が優位にあるという研究結果が多くあり、今注目されています。

治療②マイオピン【点眼薬】

1日1回点眼することによって眼の伸長を抑えることができると言われています。

この低濃度アトロピン(マイオピン)という点眼薬には眼の伸長を進展させる働きに関連する【ムスカリン受容体をブロック】する効能があるそうです。

ただし1度点眼すれば効果が出るものではなく最低でも2年間続けることが大切で、そしてあくまで進行を鈍らせるものなので、多少の近視が進むことはあります。

これは6歳くらいから使用できる点眼薬なので、近視の始まり頃から使用できる点では早期対応できるのでおすすめです。

治療③多焦点ソフトコンタクトレンズ【コンタクトレンズ】

小学生も高学年になってくると、自分で自分の事ができるようになるためコンタクトレンズもできる子が増えてきます。そこで普通のソフトコンタクトレンズでなく、多焦点ソフトコンタクトレンズを使用すると近視抑制効果があると研究結果があります。

使い捨てのコンタクトレンズなので使い続ける限り費用がかかりますし、また日中つけ続けなければならないですが、メガネでなくコンタクトレンズを検討している方には普通のソフトコンタクトレンズでなく多焦点ソフトコンタクトレンズを検討してみると良いでしょう。

治療を始めるにはどうしたら良いか

治療を始めるにも市販で売っているものではないので、専門機関を訪れる必要があります。

まずは眼科へ行こう

まずは子どもの眼の状態を知るためにも眼科へ行きましょう。

近視の度数やどんな近視の状態なのかを検査してくれます。治療の効果をよりよくするためにはまず眼の状態をしっかり把握しなければ適切な治療方法も選択できませんのでひとまず眼科へ行ってみてください。

近視治療をおこなっているか聞いてみよう

全ての眼科で近視進行抑制の治療をおこなっているわけではありません。

もしその眼科で近視進行抑制の治療をおこなっていなければ他の眼科を紹介してもらうことも可能ですが、まずはホームページなどで調べてから行くとスムーズに話が進みます。

無理に遠くの眼科へ行くには負担が大きいので家の近くで近視進行抑制治療をしている所を見つけてみると良いですよ。

よくある疑問

眼科で働いているときによく聞かれる近視の進行についての疑問をまとめます。

どの治療方法が近視を進ませない効果が強いか

より効果が高いと言われている治療法はオルソケラトロジーです。

研究結果では優位に近視進行を遅らせていると発表があり、他のどの治療法よりも効果が出ているとの声が多くあります。

本当に効果があるの?

眼科の研究発表では、オルソケラトロジーは近視進行抑制に特に有用だと言われて実証済です。

そして最近はマイオピンの研究も進み、日本人には効果がある発表も多く見られます。そしてこの二つを併用するとより効果が出ると言われています。

何歳から出来る?

オルソケラトロジーは親の管理下であれば8歳くらいから可能としている眼科もありますが、その眼科によっての考え方によるところが大きいです。

マイオピン点眼薬は6歳から治療可能としており、近視の症状が出始めたころからスタートすることを推奨、もしくはもう少し年齢が高ければ近視の症状がなくても予防として使用し始める方もいます。

途中で止めたらどうなる?

途中で止めると効果はそこで止まると言われています。近視進行は20歳くらいまで起こると言われており、いつまで治療を続けるかは難しい問題ですが少なくとも開始してから1~2年で止めてしまうと効果を感じれないまま終わる可能性もあります。そのため、長期的に治療を続けられるかを見越して開始すると良いでしょう。

いつまで治療を続けたら良い?

本来であれば近視進行が落ち着くと言われる20歳くらいまで続けられたら一番効果的かもしれませんが、20歳まで常に近視が進行し続けるとも考えにくいため中学卒業までくらいを目安なのかなと感じています。

ですが中学生になるタイミングあたりで眼科に通ってこなくなるケースが多いので、本人のやる気や金銭的な問題も絡めて可能な限り続けられることが効果的だと考えます。

おまけ・普段から出来る事は

近視進行の抑制は治療だけでなく、普段から少しづつ意識して生活する事も大切です。

point!
  • 暗い所で物を見ない
  • 長時間の近見作業(ゲームなど)は控える
  • 近見作業は時間を決めておこない、休憩を挟むことも大切

決して難しい事ではないのでぜひご家庭で取り組んでみてください。

メガネにつけて眼の習慣と姿勢をサポートするものもあります。
すでにメガネをかけているお子さんにはこれで環境を整えてあげると良いですよ。

まとめ

子どもの近視が進む原因から、近視を進ませないための治療法についてをまとめました。

近年では近視を進ませないために研究も進み、近視を抑制させようという意識も強まってきています。

ぜひ取り入れるか検討してみてください。

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